この記事は、安心フィルターが簡単に解除できる理由と、親が知らないうちに勝手に無効化されていて慌てる前の対策を考えます。安心フィルタの仕組みや動作原理を知り、スマホアプリとWiFiルータ機能の両方で、子どもの健全なインターネット利用をサポートしましょう。
安心フィルターって、なんで簡単に解除されるのでしょう。うちの息子の場合、数時間もしないうちに無効にします。のんびり理系おじさんの息子だから、頭が良いのでしょうか。そんな事はありません! 学期末に担任の先生から個室でご指導いただきました。授業中の居眠りしているようで、親のサポートが重要だと言われました。
本人いわく、安心フィルターは、触ってたら勝手に外れたと言ってますが、知恵の輪ではないのですから、そんな簡単にフィルターが破られたら、安心フィルターを設定する意味がありません。

これが、きちんと動いてくれれば苦労はないのですが、「安心フィルター 解除 裏ワザ」で検索すると、すぐに解除方法が出てきます。

ご丁寧に、YouTubeを使った解除方法の動画解説まであるので、のんびり理系おじさんのバカ息子でも、映像を見ながら簡単に安心フィルターを解除できます。なんで、そんなに簡単に安心フィルターが解除されるのか。大手通信キャリアさんが、きちんと説明していない部分を、詳しく解説していきたいと思います。

安心フィルターって何だろう
まず、安心フィルターとは、どんなものなのか整理していきましょう。
スマホを使用制限するアプリ
安心フィルターを始めとするペアレンタルコントールは、親が子供のために制限をかけることを言います。スマホで制限するのは、特定URLへのアクセスやアプリケーションの起動になります。動作イメージとしては次のような感じです。








実際、大手通信キャリアの説明では、安心フィルターは「出会い系サイトなどの有害・不適切なサイトやアプリケーションから子供を守るアプリケーションで、Wi-Fi通信時も有害・不適切サイトからお子さまを守ることができます。」と記載があります。
安心フィルターの機能
つまり、安心フィルターをインストールすることで、スマホは、子供にとって不適切なコンテンツを閲覧できないようになります。この利用制限は、スマホにアプリケーションをインストールすることで実現します。スマホ自体で特定URLへのアクセスやアプリケーションの利用制限するので回線は選びません。キャリア回線、WiFi回線のいずれの時も動作します。
- スマホにインストールするアプリ
- 不適切なコンテンツを閲覧できない
- キャリア回線でもWiFi回線でもOK

安心フィルターの基本動作
なぜ、安心フィルターは、すぐに解除できちゃうのでしょうか、安心フィルターの仕組みを詳しく説明していきます。
安心フィルターは、スマホにインストールするアプリケーションで、AndroidやiOSといったオペレーション・システム(OS)上で動作します。安心フィルターの仕組みについて、ソフトウェアの視点から説明しましょう。 安心フィルターは、有害・不適切なサイトのアクセス制限と、アプリケーションの起動制限の2つの機能からできています。それぞれの機能について説明します。
サイトのアクセス制限制限
出会い系サイトなどの有害・不適切なサイトにアクセスさせないため、閲覧用のアプリケーションであるChromeやSafariなどのWebブラウザを非表示として、代わりに安心フィルターのアイコンを表示させます。ChromeやSafariのアイコンは非表示なので、これらのWebブラウザから、サイトにアクセスすることができません。


Webサイトのアクセスは、必ず、安心フィルター経由にすることで、不適切なサイトにアクセスさせない機能を実現します。それゆえ、安心フィルターをインストールしたスマホは、Google ChromeやSafariといったWebブラウザのアイコンは、画面から見えなくなってしまいます。
アプリケーションの起動制限
一方で、有害・不適切なアプリケーションは、アプリのアイコンを非表示にし、アイコンが表示されないと、アプリケーションを起動することができません。
つまり、安心フィルターとは、特定のアプリケーションのアイコンを非表示にするアプリケーションなのです。

特定のアプリケーションのアイコンを表示しない動作をすれば、確かに、各キャリアが紹介するような「「出会い系サイトなどの有害・不適切なサイトやアプリケーションから子供を守る」動作をします。
ポイント
- 安心フィルターは、アイコンを非表示にするアプリ
- アクセスしてよいサイトのみ、Webアクセスを許可する
- 使わせないアプリケーションのアイコンは非表示にする
安心フィルターが解除される原因
安心フィルターのアプリケーション動作が分かったところで、次の疑問です。なぜ、安心フィルタ-は、YouTubeの動画解説のようにかんたんに機能を無効にすることができてしまうのでしょうか。これは、AndroidやiOSといったオペレーションシステム(OS)の仕組みによるものです。分かりやすく説明していきましょう。
正常動作時の安心フィルター
また、正常に動作するときは、安心フィルターが、Webブラウザ(ChromeやSafari)や、アプリケーションのアイコンを見えなくすることでこれらのアプリケーションを起動できないようにします。
解除された安心フィルター
安心フィルターが正常に動作していない状態は、安心フィルターが、制限したいアプリケーションのアイコンを隠すことができなくなった状態です。OS(AndroidやiOS)の下で動いているアプリケーションは、優先順位を付けることができません。優劣を付けられないことを悪用して、OS上から、安心フィルターを無効にしてしまえば、アイコンを隠す、動作は無効になってしまいます。
裏ワザの多くは、OSの抜け穴を見つけて、安心フィルターのアプリケーション動作を無効にするものです。安心フィルターが無効にされてしまうと、一切の制限が掛けられないので、やりたい放題になってしまいます。
ポイント
- OS上からは、アプリケーションの優劣を付けられない
- 安心フィルターを無効にしてしまえば、全く制限できない
アプリ内ブラウザの抜け道
さらには、安心フィルターで制限できないものとしては、アプリケーション内部で動作するアプリ内ブラウザがあります。例えば、皆さんが良く使われる以下のSNSアプリには、ChromeやSafariといったブラウザとは別のWebを閲覧するためのブラウザが組み込まれています。

- Line のアプリ内ブラウザ
- X (旧Twitter) のアプリ内ブラウザ
- Instagram のアプリ内ブラウザ
- TikTok のアプリ内ブラウザ
特にLineは、クラスの同級生や、部活の仲間と連絡するために使っており、Line自体を使えないようにするのは現実的ではありません。
また、安心フィルターは、特定のアプリケーションのアイコンを見えなくする機能であるため、Lineなどのアプリケーション内部で動作するアプリ内ブラウザを使えないようにすることはできません。Lineの使用時間が長い場合、Lineで同級生や部活の仲間と連絡を取り合っているのではなく、アプリ内ブラウザで、YouTubeを鑑賞しているということが考えられます。
ポイント
- アプリ内ブラウザは、安心フィルターで制限できない
- 安心フィルターは、アプリ全体しか制限ができない
- Lineの使用を制限するのは、現実的ではない
スマホ依存症のおそろしさ
子どもの成長に、そこまで、スマホ利用を制限する必要はあるのかそうお考えの親御さんも、おられるかも知れません。
我が家も、安心フィルターみたいなモノで制限しなくても、子供自身が、スマホに気を取られると成績が下がる事に気が付いて、自ら、勉強と遊びを両立してくれるに違いない。そう信じていました。しかし、残念なことに、その期待は裏切られてしまいました。
とにかく、朝から晩までスマホを触っています。勉強をする時も、ご飯を食べる時も、寝る時もスマホと一緒です。肌身からスマホを離すのは、お風呂に入る時ぐらいです。では、ずっとスマホと一緒にいることの何が悪いのでしょうか。子どもからスマホを引き離すべき理由を具体的に説明します。
スマホ3時間で平均点を取れず
「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で有名な東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授と仙台市との共同研究において、10年にわたりスマホ利用時間と成績の因果関係を調べた研究成果が発表されています。 スマホ等の使用時間が3時間以上の小中学生は、睡眠を7~8時間取って、勉強を3時間以上しても平均点が取れないというものです。スマホを長時間使用すると、せっかく勉強しても台無しになってしまうのです。
出展:スマホ使いすぎると「勉強が台なしに」 脳トレ・川島隆太教授がデータで解説 | 朝日新聞Thinkキャンパス (asahi.com)
スマホ利用が1時間程度になるように親が制限してあげないと平均点すら取れず、学校の授業についていけないのです。

スマホ利用で失うモノは何?
また、日本医師会は、スマホ利用で子供たちが失うモノをイラスト化してポスターにしています。子供がスマホを使うことにメリットはなく、デメリットしかない。という事が良く分かります。
睡眠時間が削られ、スマホを使えば使うほど成績が落ちます。長時間のスマホ利用は脳機能にもダメージを与え、記憶力や判断力の発達が遅れてしまいます。もちろん、スマホばかり使っていると人と人のコミュニケーションが減り、団結力や協調性といった社会生活にも支障が出てきます。 体を動かさないので、骨や筋力が育ちません。すぐに疲れてしまうため体力もつかず、すぐに疲れてしまいます。近くばかり見ているので、近視になり視力が落ちます。
出展:スマホ依存に対する啓発ポスター(日医・日本小児科医会作成)について | 日医on-line (med.or.jp)
この内容を、極論だという方もいるようですが、日本小児科医会が作ったポスターであり、加えて、私自身の経験から、決して大げさな内容ではないと感じています。ポスターは出展ページのpdfからダウンロードしてください。
子供部屋に貼られることを私はお勧めします。 のんびり理系おじさんのバカ息子が、まさに、こんな状態です。スマホ依存症で、勉強ができない、体力がないだけ良いのですが、夜中2時頃まで毎日起き、まともにコミュニケーションが取れません。判断力や理解力はとても低いです。自分の思い通りにならないと、かんしゃくを起こします。お病気です。。。


安心フィルタ―は解除前提で導入
ここまでの説明で、安心フィルターに頼り切ったスマホ制限は、現実的ではないことが分かりましたね。そして、きちんとスマホの利用を制限しないと、子供の成長に、悪影響があることも分かったと思います。
子どもの成長とともに、安心フィルターは
解除される前提で使いましょう!
安心フィルターのすべてを否定する気はありませんが、ちょっと調べれば、安心フィルターは無効にできちゃうので、利用できる時期は、小学生ぐらいまでと割り切りましょう。私は、WiFiルータの機能を使った、スマホ制限をお勧めしています。安心フィルターを利用した制限と、WiFiルータの機能を利用した制限についてまとめます。
安心フィルター単独で利用制限
安心フィルターは、ちゃんと機能すれば、自宅のWiFiだけではなく、キャリア回線でも利用制限ができるメリットはあります。しかし、安心フィルターが無効にされてしまったら、インターネットの利用を制限することができません。スルーです。結局、スマホだけで制限することに限界があります。スマホ以外でのインターネット利用制限を考える必要があります。
親も子もiPhoneであれば、スクリーンタイムを使う手もあるのですが、親はandroidを使っており、子供のiPhoneを制限することができません。色々と試した結果、我が家ではWiFiルータを使った制限になりました。
WiFiルータで複合的な利用制限
具体的にWiFiルータを使って、安心フィルターを無効にされてても、自宅のWiFiからインターネットに簡単に接続できないようにしましょう。
最新のWiFiルータでしか、制限はできないという訳ではありません。我が家にあるのは、10年ぐらい前のNEC AtermシリーズのWiFiルータです。これでも十分、インターネット利用制限をすることが可能でした。 もちろん、古いWiFiルータにはキッズタイマーは搭載されていません。キッズタイマーを搭載したWiFiルータを購入する機会があれば、説明を追加したいと思いますが、キッズタイマーを搭載したルータがあれば、Don't Worryではありません。ちゃんとWiFiルータに搭載された機能を確認しましょう。

案1)MACアドレスフィルター
WiFiルータに接続できる通信端末を限定するのが「MACアドレスフィルター」です。スマホを始めとする通信端末のMACアドレスを登録し、登録したMACアドレスを通信端末のみ通信を許可、もしくは、拒否する機能です。MACアドレスフィルターには許可型と拒否型がありますが、許可型のMACアドレスフィルターが搭載された製品を選びましょう。
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最後に、読者の皆さまのお子様の成長を心よりお祈り申し上げます。どうしようもないとき、このページを参考に通信制限を掛けてください。今後も、皆様のお役に立てる情報を発信していきます。