この記事では、WiFiルータのメーカ修理とサポートの視点で深堀し、各メーカを具体的に比較することで、購入後に後悔しないWiFiルータ選びをサポートします。
皆さんは、電子機器を購入した後に後悔したことはありませんか。のんびり理系おじさんは、その場の勢いや興味本位で購入してしまうので、そういう事が良くあります。購入したものの思ったような動きをせず、不明点をメーカに問い合わせても、的確な回答が返ってこなかったときは、残念を通り越して怒りを感じます。
特にハングル系や中華系の対応はハズレが多いです。もちろん確率論ではあります。ちゃんと対応してくれるメーカもあります。ということで、購入後に後悔しないWiFiメーカの修理とサポートについて記事にしました。
記事のポイント
- 修理とサポートの違いを知る
- 修理期間からわかるメーカ信頼性
- 古いWiFiルータの使い道を知る
- 各社のサポート期間を知る

WiFiルータの修理とサポート
WiFiルータを選定するとき、皆さんは何を基準で選んでいますか。最新のWiFi規格に対応していることでしょうか。mu-mimoに対応した高速通信でしょうか。アンテナの方向を自由に変えれることでしょうか。それとも、のんびり理系おじさんが提唱するインターネット利用制限の搭載機能でしょうか。どれを重要視するにしても、外せないのが修理とサポートです。具体的に考えていきましょう。
メーカの修理期間
メーカ修理とは、製造メーカが製品の品質を保証するものです。メーカ修理期間は、メーカが決めた製品寿命で、製品が問題なく動作すると定めた期間です。この期間内に製品が故障した場合、メーカは責任をもって無償もしくは有償で修理を行うため、いつでも修理ができるよう製品に使用した部品を保守部品として倉庫に保管します。
修理依頼があれば、倉庫の保守部品を使って正常に動作するよう製品を修理しなければなりません。
ただし、メーカ修理は、製品欠陥による人的被害を補償する製造物責任法のような法令で決められた義務はありません。極端な例をあげるなら、製品寿命が3日であれば、保守部品の保管期間は3日間であり、それを過ぎれば保守部品は廃棄して良いことになります。そして、メーカは修理期間の終了を宣言します。
保守部品を倉庫で保管すると、倉庫の利用料金などの保管料金が掛かります。

修理期間が長いことは、メーカの誠意であり、製品の品質や信頼性につながります。なぜなら、故障頻度が高い製品は、設計時の製品寿命に達する前に保守部品を使い切ってしまいます。

結果として、メーカ修理証期間を短くせねばならないのです。
メーカのサポート期間
メーカのサポートとは、販売した製品を使用するユーザからの質問に答えたり、設定のサポートなどに対応することです。多くのメーカは、サポート期間を定めていません。定めがあっても、それより長期の対応してくれることが多いです。製品を使うユーザがいる限り、メーカは、製品を使い続けることができるように支援をしてくれます。
WiFiルータのサポートには、ファームウェアのアップデート提供もあり、発売後に判明した認証方式や暗号化の脆弱性は、ファームウェア修正で対応します。もちろん、対応が難しい場合や、利用者が少なくなった古い製品は、ファームウェアの提供がない場合もあります。
ファームウェアの修正は、ソフトウェアであり倉庫を契約する必要がありません。倉庫を借用する固定費が発生しないので、長期の対応が可能なのです。

お金は掛かっていない!
そのため、ファームウェア修正は、製品を使っているユーザ向けに無償で提供されることがほとんどです。
修理期間とサポート期間の違い
修理期間とサポート期間の違いは、ハードウェアとソフトウェアの対応期間の違いです。修理期間はWiFiルータの保守部品の保管期間であり、サポート期間はファームウェアの対応期間です。保守部品の保管期間であるハードウェアの修理期間に比べて、ファームウェアの対応期間であるソフトウェアのサポート期間は長くなるのが一般的です。
WiFiルータの場合、無償保証は購入後1年を過ぎると有償修理になりますが、サポートは無償対応が一般的です。言い換えれば、いずれの期間もメーカがWiFiルータを使用するユーザを、どこまで大切にしているかの指標であり、販売後の対応が紳士的であるか判断する基準になります。どんなに高性能でも、修理やサポートに問題があるメーカの製品は、選定するべきではありません。
何年ごとに交換したほうが良いのか
WiFiルータのセキュリティ面を考えると5年程度で交換すべきとは思いますが、ハードウェア的に10年ぐらいは壊れません。ハードウェア寿命は、電子部品の寿命に比例します。WiFiルータは使えば使うほど、どんどん通信速度が落ちるとウソの情報を書いている記事もありますが、そんな事はありません。
メーカが想定する通常の使い方であれば、WiFiルータを始めとする電子機器は10年ぐらいは動作します。のんびり理系おじさんが使っているAterm WR9500Nは、10年以上も動いています。ハードウェア的には10年ぐらいは動作するので、交換周期は使用用途により変わってきます。
10年前のルータを使って良いか
交換周期がはっきりしないのであれば、そもそも10年以上前のルータを使って良いのかという話になります。10年を経過すると、部品の経年劣化が進むため、ある日、突然、正常に動作しなくなることがあります。それを承知の上で、使うのであれば10年を超えても使用することは可能です。もちろん、10年前のWiFiルータは、通信規格がかなり見劣りするように感じると思います。
今から10年前と言うとインターネットの回線速度は1桁遅かった時代です。規格も古く、映像鑑賞に使うと通信速度の遅さを実感します。
そして、もっとも気を付けないといけないのがセキュリティ・リスクです。IEEE802.11nでWPA2(AES)に対応している製品であれば、ギリギリ使えるレベルですが、WPA2(AES)は、2017年11月に脆弱性「KRACKs」が発見されました。
「KRACKs」は、OSと組み合わさるとデータが解読される可能性があるという脆弱性であり、一般家庭での利用で大きな問題になる可能性は低いですが、リスクがあることは変わりません。
https://blog.trendmicro.co.jp/archives/16162
WiFiルータのハードウェア寿命
電子機器であるWiFiルータのハードウェア寿命について検証を加えていきましょう。WiFiルータのハードウェアが故障する原因は、経年劣化によるものです。
ハードウェアは何年くらいで壊れる
経年劣化による電子機器の故障原因は、電子部品である電解コンデンサの容量抜けや、可動部のグリス乾燥、接点部の酸化(錆び)です。WiFiルータの故障原因も同様です。
もちろん、いきなり壊れるわけではなく、徐々に性能が落ちていく状況になります。劣化の原因は、使用頻度ではなく、環境条件(温度や湿気)に時間経過が加わったもので、WiFiルータを使用しなくても製品劣化は進みます。劣化のスピードは、WiFiルータを動作させた熱による影響で、酸化や蒸発といった化学反応が起こりやすいため早くなります。温度や湿度が低ければ化学反応は起こりにくく、劣化スピードは遅くなります。
使用環境は様々なので、何年で壊れるか明確に説明することができません。
動作が不安定になる原因は
長期間の使用により、動作が不安定になるという意見がありますが、それは正しいです。電子機器が不安定になる原因は、大半が電子部品の経年劣化で内部電圧が正常に保てない事に起因します。電圧とは、人間における血圧です。血圧は高くても低くても不調を生じます。電解コンデンサの容量抜けが生じると電気を貯められなくなり、接点部の酸化(錆び)が発生すると抵抗が増えるので、電圧が低くなり、電流が流れにくくなります。
電流が流れにくくなると電子機器の動作も遅くなり、動作も不安定になります。電流は、人間の血流と同じですね。
WiFiルータが古いとどうなる
電子機器は、室内利用においては、通常は10℃~35℃の使用環境を想定しています。WiFiルータが古くなると、電子部品の劣化により電圧が下がり、それにともなって電流が流れにくくなります。ルータと端末間での通信がうまくいかなる事が出てくるので通信速度のパフォーマンスが落ちます。歳を取ると耳が遠くなったり、何を言いたいのか分からない説教が増えるみたいなもんです。
話が理解できないので聞き直したり、余計な話を聞いてから本題に移るみたいな状況と同じようなことがWiFiルータの無線通信においても発生しているのです。
やはり、若くてピチピチで、ムチムチがいいですね(笑)
修理期間はいつまで
各メーカの修理期間は、次のとおりとなっています。
メーカ名 | 無償修理 | 有償修理 |
1年間 | 販売終息後5年間 | |
![]() |
1年間 | 製造終了後3年間 |
1年間 | 販売終息後5年間 | |
3年間 (新品交換) |
修理しない |
tp-linkは無償修理の期間は3年と長いですが、修理ではなく新品交換です。修理技術者を抱える必要はなく、部品を保管する倉庫も必要はないので長期対応はできますが、紳士的な対応であるかは疑問です。
また、tp-kinkは保証書を紛失したら修理交換は受け付けてもらえないので注意してください。
WiFiルータのファームウェア寿命
一般的には、電子機器に組み込まれたソフトウェアをファームウェアと呼びます。ファームウェアの寿命について検証していきましょう。
ファームウェアとは
ハードウェア制御や、メンテナンス画面の表示、動作履歴の管理などを行うソフトウェアをファームウェアと呼びます。ここで、皆さんに質問です。パソコンのファームウェアはUEFIやBIOSです。Windows OSではファームウェアありません。しかし、iPhoneのiOSはファームウェアと呼ばれます。それはなぜでしょうか。どちらも、OSと呼ばれるソフトウェアなのに、なぜ、Windows OSはファームウェアではないのでしょうか。
その回答として、ファームウェアは、メモリやストレージ、グラフィックやサウンドといった周辺インターフェースのハードウェア制御を制御する基本ソフトウェアです。パソコンのファームウェアであるUEFIやBIOSは、ハードウェアの基本制御に特化したソフトウェアであり、スロットに刺さった複数のメモリを1つのメモリとして扱えるようにしたり、ストレージを分割した領域で使用できるようにします。Windows OSは、ハードウェアの基本制御をUEFIやBIOSといったファームウェアに任せ、細かい制御は行いません。
OSは、利用者がパソコンを使いやすくなるような使用環境を提供します。それゆえ、パソコンは、OSはMicrosoft Windowsの使い勝手が悪ければ、Linuxなどの他OSを選ぶことができます。
一方でiPhoneに使われているiOSは、メモリやストレージ、グラフィックやサウンドといった周辺インターフェースの制御を行っており、また、iPhoneには、Androidなど他のOSで動作させることはできません。よって、スマホOSはファームウェアと呼ばれるのです。
バージョンの確認方法
さて、話は少しズレてしまいましたが、WiFiルータのファームウェアは、スマホと同様に他のOSで動作させることができません。ハードウェア制御だけはなく、メンテナンス画面の表示、動作履歴の管理なども行うソフトウェアです。各メーカは、バージョンの確認方法を詳しく説明しているので参考にしてください。
ファームウェアのバージョン確認手順 | |
![]() |
最新のファームウェアに更新する方法 |
ファームウェアバージョン確認 |
更新しないとどうなる
更新しないとセキュリティ・リスクを増大するので、ファームウェアは常に最新にバージョンアップしましょう。最新の認証方式や暗号化も、時間の経過とともに脆弱性も発見され、解読できるようになってしまいます。これら脆弱性は、ファームウェアのアップデートで対応することができます。言い換えれば、アップデートしないことで、暗号化したデータが解読されるリスクが増加します。
最近のWiFiルータは、常に最新のファームウェアを適用できる自動アップデート機能があります。


ファームウェアの自動アップデート機能を有効にすることで、セキュリティ・リスクを回避することができます。
サポート期限はいつまで
実際に各メーカのサポート期間を調べたら次のようになりました。ただし、定めた期間より長期にわたりサポートをしているようです。
メーカ | サポート期間 |
販売終息後5年間 | |
![]() |
定めなし |
販売終息後5年間 | |
定めなし |
参考記事
古いルータの活用方法
ちょっと古くなってしまった最新ではないWiFiルータをどのように活用するかを考えましょう。
有償修理期間が終わっても捨てない
有償修理期間はメーカが保守部品を確保している期間です。ハードウェアの故障修理ができなくなってしまいますが、使用すること自体はできます。サポート期間中であれば、新たに発見された脆弱性に対応したファームウェアが提供されるので、そういった意味でも安心です。のんびり理系おじさんも、バカ息子のネットワーク利用制限に使っているAterm WR9500Nはローカルルータとして使っています。インターネット回線の接続用には別ルータがあります。
中継器として使おうぜ
WiFiルータのメーカは、古いWiFiルータを中継器として使うことを勧めています。
古いWi-Fiルーターを中継機として再活用 | |
![]() |
Wi-Fi中継機として接続できる商品 |
私も、メーカの推奨する中継器としての再利用に異論はありませんが、次のことを理解した上で、中継器として使いましょう。
問題1) メインWiFiの速度に影響あり
同一周波数の無線波が近くにあると通信速度に影響する可能性があります。IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)は、同一周波数をチャネル分割して効率よく無線帯域を使用するOFDMAに対応して混信は減りました。しかし、IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)より以前はOFDMです。
通信規格が古いと周波数を効率的に使用できず、隣接するWiFiルータの通信を邪魔するので期待する通信速度が出ません。
問題2) 半二重通信にストレスあり
有線は送受信を同時に行える全二重通信であるのに対して、無線は送信と受信を交互に行う半二重通信です。刑事ドラマなどに出てくる「こちら所轄、本部どうぞ!」って奴ですね。マイクに向かって「本部どうぞ!」といっても、本部から返事が返ってこないと会話が続きません。
逆に本部が一方的に情報を流していると、いつまでたっても所轄はしゃべれません。全二重通信と比較すると効率が悪く、半二重通信は動画を始めとするストリーム伝送には向いていません。
古いWiFiルータを使うリスク
古いWiFiルータを使うことで生じる問題は、認証方式や暗号化が古いことによるセキュリティ・リスクです。対応しないことで不正侵入や情報漏洩の可能性がでてきます。メーカが脆弱性に対応するファームウェアを提供してくれている間は、使い続けても問題はありませんが、対応するファームウェアの提供をやめた時が廃棄のタイミングです。
古いルータの捨て方
WiFiルータはリセットボタンを押しながら再起動すると設定が初期化されます。のんびり理系おじさんの自宅WiFiルータのようにリセットボタンを押せないようにしている場合は、メンテナンス画面から設定の初期化を行ってください。
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保守とサポートのまとめ
当たり前のことですが、購入後のアフターサービスが信用ならないメーカの製品の購入は見送るべきです。無線通信である以上、時間をかければ認証方式や暗号化は解読されます。また、コンピュータの性能があがれば解読される機会も増えてきます。日進月歩です。ちゃんと、最後までちゃんと面倒を見てくれるメーカを選定したいですね。
最後まで読んでいただき、まことにありがとうございました。のんびり理系おじさんは、読者の皆さまのお子様の成長を心よりお祈り申し上げます。どうしようもないとき、このページを参考にインターネット利用制限を行ってください。おじさんは、これからも、皆様の子育てのお役に立てる情報を発信していきます。