この記事は、WiFiルータを作っている製造メーカにフォーカスして、通信制限を深く掘り下げていこうという企画です。今回リサーチするのは、バッファロー AirStationです。
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バッファローは、WiFiルータの国内販売台数はトップです。BCN AWARDによると20年以上も国内シェアトップです。最新のWiFi規格を取り込み、方向が変えられるアンテナを搭載する上位機種があるのが特徴で、様々なユーザニーズに答える製品づくりをしています。
スタンダードなWSRシリーズと、アンテナの方向が変えられるWXRシリーズがメインですが、とにかく、製品開発のスピードがメチャメチャ早く、最新規格に準拠したWiFiルータを、いち早く発売します。また、ゲストSSIDの使い勝手が秀逸です。
バッファローです
というわけで、今回はWiFiルータの製造メーカであるBuffaloのちょっとマニアな深堀りをしたいと思います。
記事のポイント
- バッファローの歴史と特長を知る
- WiFiルータの搭載機能を分析する
- 製品の特長や機能から弱点をさぐる
- 他社と比較し優れた点を説明する
バッファローの製品開発の歴史
Buffalo AirStationは、(株)バッファローが販売しています。元々は(株)メルコという会社でした。往年のパソコンユーザは、周辺機器のブランド名「Buffalo」のイメージが強いですが、メーカの生い立ちについて調べました。
バッファローの生い立ち
(株)バッファローは、元々は(株)メルコという会社で、音響機器メーカとして、1975年に愛知県名古屋市で創業しました。パソコンが世の中に普及し始めた1980年半ばに、パソコン周辺機器に参入し、増設メモリ、CPUアクセラレータ、LANボード、無線LANルータ、ネットワークストレージ(NAS)などを開発・製造しました。
事業内容は「デジタル家電及びパソコン周辺機器の開発・製造・販売及びデータ復旧サービス」となっていますが、ネットワーク、ストレージ、メモリが事業売上の中心です。売上げの大半は、デジタル家電というよりパソコン周辺機器でしょう。
なお、2025年4月1日に㈱メルコホールディングスへの吸収合併の公告がありました。(株)バッファローは吸収合併で消滅するようです。ただし、吸収存続会社である(株)メルコホールディングスは(株)バッファローに商号を変更するので、バッファローというブランド名は残るようです。
バッファローの製品開発の強み
最新のWiFi(IEEE802.11)規格を取り入れたWiFiルータを、どこよりも早く世の中に出すためAirStationシリーズは自社で開発しています。WiFi(IEEE802.11)の標準仕様が決定したら、新しいWiFi(IEEE802.11)規格に従ってチップセットを作る会社があり、そのチップセットを基盤に実装し、FPGA(Field Programmable Gate Array)の論理回路でCPUとチップセットを繋ぎ合わせるといった開発です。
今は、FPGAがあるので、基盤の部品実装を変更を加えなくても、FPGAの内容を変更するだけで済むので、効率よく開発することができますが、それにしても製品開発のスピードが早いです。ドラフト版のWiFi7の対応チップセットのサンプル供給が2022年半ば頃にあったとはいえ、総務省が予定する2024年末にWiFi7(IEEE802.11be)規格策定を横目に、バッファローは1年前の2024年1月にWiFi7対応ルータを発売しています。
何か問題があれば、ファームウェアのアップデートで書き換えれば良いとは割り切っているとは思いますが、いちはやく最新のWiFi(IEEE802.11)製品を開発することができるのは、メーカとしての強みです!
バッファローの開発力と技術力
技術力があるから、いちはやく製品開発できると思いますが、保守性や安定性は少し心配です。
私の経験上、製品を安定して動作させるためには評価が重要でした。開発に掛かった時間や労力の数倍の評価が必要です。アジャイル開発(小ブロックに分けた同時開発)をすれば、開発スピードは速くなりますが、全ブロックを繋げた総合試験は、アジャイル開発とは切り離し、しっかり実施して信頼性を高める必要があります。
数倍の評価が必要!
また、アンテナの方向を変えることができる製品は、実際にどこまで検証されたのかは疑問です。無線は目に見えません。色を付けて電波の届く範囲や、干渉による影響を確認できません。アプリで電波の想定状況を表現できますが、実際の電波状態ではありません。多くの条件下で評価するべきでしょう。無線通信は反射や回折があるので検証がとても難しいです。
カタログやWebには、執拗に「数値は理論上の最大値です」と書いてありますが、電波の飛び具合を、様々なアンテナ角度で確認したのか気になります。無線LANの最大送信出力は、電波法で10mWと決まっています。複数のアンテナを使えば、波を強め合って遠くまで到達することは可能ですが、逆に、干渉で打ち消し合って、電波が届かない場所も増えます。

また、少し触っただけで、アンテナ角度が変わるので、保守性や安定性といった部分は、あまり考慮していないのかも知れません。誰もが疑わない開発力や技術力はありますが、保守性や安定性は、使う人によって意見が分かれると思います。
バッファロー製品の特長
製品ラインナップは、通信規格とアンテナ数で差別化を行っていますが、いち早く市場に製品を投入するため、WiFiルータの設定画面は、大きな変更はみられません。おそらく、ソフトウェアは全く同じものを使っているのでしょう。そのため、製品によってユーザインタフェース画面の表示速度が異なると思います。設定を増やすと動作がもっさりする製品があると思います。
また、無線LANの2.4GHz、5.0GHz、6.0GHzといった周波数帯は、反射や回り込んで入ってくる可能性はありますが、鉄筋コンクリートの壁や床を通過して伝送することはできません。周波数が高くなれば直進性も強くなるので、鉄筋コンクリート造が多い、マンションやオフィスでは、上下方向に伝搬することは困難です。
つまり、アンテナ方向が変えれるAirStationは、電波が通過できる木造住宅での使用がターゲットであると考えられます。左右方向だけではなく、木造2階や3階といった上下方向に伝送することで、1台のWiFiルータで自宅全部をカバーするという用途に向いています。よって、マンションやオフィスでBuffalo AirStationを導入する場合、十分、事前検討を行った方が良いでしょう。
とはいえ、ファームウェアのアップデートは頻繁に行われます。購入前に、使用用途と設置方法を十分に検討した上であれば、最高の環境を手に入れることができると思います。利用者や設置場所に条件がありますが、自宅でAirStationシリーズを選ぶ人が多いのも納得です。
バッファロー AirStationの制限機能
(株)バッファローは、WiFi黎明期からAirStationシリーズのWiFiルータを供給してきました。新たな製品を投入するたびに新しい機能が増えています。一度、追加した機能は、今のところ、廃止することはないようです。また、通信制限の機能としてはオーソドックスです。「この機能は他社にはない!」といった特筆すべき機能はありませんが、必要な機能は、ひと通り揃っている感じです。

ゲストSSID「ゲストポート」は、他社に先駆けて導入されました。中高生は、学校の授業でもタブレットやChromeBookを使います。クラブ活動や補習授業によって帰宅時間もバラバラなので、トップ画面から設定や時間延長ができるゲストSSIDは、とても便利です。BuffaloのAirStationシリーズで通信制限をするなら、ゲストSSID「ゲストポート」をオススメしたいと思います。
キッズタイマーは、NEC Atermシリーズのキッズタイマー「こども安心ネットタイマー」と同等の機能です。また、バッファローには法人向けネットワーク機器はありますが、大手や中堅企業でバッファローのルータが採用されているのを見たことがありません。それゆえ、ルータ機能自体の評価は高くありません。
継続搭載され安心♥
機能の設定画面ですが、どの製品も同じ場所にあり、シリーズによって設定画面の構成が大きく変わることはありません。新しい通信規格に対応した製品を購入しても、悩むことなく、通信制限の設定ができるのは良いと思います。
MACアドレスフィルタ
許可型のMACアドレスフィルタ「MACアクセス制限」が実装されています。未登録端末を制限できないというな問題を抱えた拒否型のMACアドレスフィルタが搭載されていないのには好感が持てます。「Wi-Fi設定」-「MACアクセス制限」で通信を許可する端末を指定することができます。

自動登録だけではなく、手動でも登録できる点は、きちんと作られています。

なお、キッズタイマーとMACアドレスフィルタ(MACアクセス制限)は同時使用できません。これは、MACアドレスを登録したテーブルを共用しているためです。バッファロー AirStationシリーズだけではなく、NEC Atermシリーズも同時使用できません。
ELECOMは、キッズタイマーとMACアドレスフィルタの同時使用が可能です。
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キッズタイマー
拒否型のMACアドレスフィルタにスケジュール機能を追加したもので、登録したMACアドレスを持つ端末の通信を制限します。主に幼稚園から小学校低学年の通信制限するのに有効な通信制限で、中高生の制限には向きません。

一方で、登録していないMACアドレスを持つ端末は「未設定端末」となり一切の制限を受けません。つまり、登録されていないMACアドレスを持つ端末は、SSIDとパスワードさえ知っていれば、誰でも自由に接続できます。

最近のスマホのMACアドレスは、プライバシーの保護を目的に、一定の間隔でMACアドレスが変わってしまいます。もちろん、端末が持つ固有のMACアドレスに固定することは可能なのですが、中高生なら、容易にMACアドレスを可変に戻す設定ができるため、キッズタイマーは、スマホの通信制限には使えないと考えておくべきです。
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任天堂Switchなどの家庭用ゲーム機は、MACアドレスが変わらないので、「キッズタイマー」を使った制限は有効です。言い換えれば、幼稚園から小学校低学年といった世代には有効ですが、子供が成長するにつれ、使用できる機会が減るのがキッズタイマーです。
ゲストSSID
Buffalo AirStationシリーズでの通信制限と言えば、ゲストSSID「ゲストポート」というイメージが強いです。ルータのトップ画面から、ゲストポートをONにするだけで、特定のSSIDの通信が一定時間の通信できるようになります。

例えば、宿題が終わったので3時間だけゲームで遊んで良いとか、google検索に1時間だけネットワークに繋ぐことを許可するとか、要望に合わせて、ネットワーク接続を開放します。
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中高生は、学校の授業でもタブレットやChromeBookを使います。クラブ活動や補習授業によって帰宅時間もバラバラなので、スケジュールの変更が必要なキッズタイマーは、設定が面倒です。トップ画面から通信を許可するBuffalo AirStationシリーズのゲストSSIDは、とても便利です。時間延長も簡単にできます。
パケットフィルタ
ネットワーク屋さんは、通信制限にパケットフィルタ(業務用だとアクセスリストと呼ぶ事が多い)を多用しますが、一般の人は、パケットフィルタを使うことはありません。しかし、パケットフィルタこそが、レイヤ3の通信制限の真髄です。「ルーターセキュリティー」-「IPフィルター」でIPアドレスを使った通信を制限します。
IPネットワーク上では、Webブラウザもアプリケーションもすべての通信は、IPアドレスで通信します。送信元のIPアドレス、もしくは、相手先のIPアドレスを指定すれば、該当する通信を、完全に遮断することができます。

もちろん、Webブラウザやアプリケーションを使う上では、IPアドレスが表面上で出てくることがありません。しかし、その裏で、すべてのデータ通信ではIPアドレスで通信しています。それを制限するので、確実に通信を制限することができます。
ただし、コンテンツの種類が増え、データサイズはどんどん大きくなります。1台のサーバで膨大なデータを処理するのは困難になっているのが現実です。特に動画配信では、1,000台以上のサーバで分散して処理をしています。つまり、通信を制限するIPアドレスは範囲で指定しないとキリがありません。
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特定の端末のみインターネット接続させない方法 | バッファロー (buffalo.jp)にあるように、すべての宛先としか設定できないかと思っていたのですが、メーカに直接問い合わせたら、送信元も宛先も範囲指定できるそうです。
192.168.1.1 - 192.168.1.255 といったように、開始アドレス 半角スペース 半角マイナス 半角スペース 終了アドレス で設定ができるそうです。
DNSルーティング
Buffalo AirStationシリーズは、DNSルーティングを実装していません。WebブラウザでURLを指定して通信する場合しか制限できないので、使用する機会が限定されるのが採用されなかった理由だと思います。
その代わり、年間3,300円と有料ですがi-フィルターを搭載しています。閲覧禁止カテゴリに合わせて、WebブラウザのURLを制限できます。ただし、制限できるのはWebブラウザによる接続だけです。アプリケーションによる接続は制限できません。WebブラウザによるURL制限に、年間3,300円を支払う価値があるかは、みなさんのご判断にお任せします。
最新機種は未対応です。2020年頃までの機器には搭載されていました。
省電力設定
WiFiを使用しない時間帯に無線を止めてしまう通信制限です。電波自体が飛んでいないので、通信制限としては最強です。MACアドレスやIPアドレスによる制限とは異なり、確実に通信制限できます。省電力設定「スケジュール」は、かなり昔から実装されています。「アプリケーション」-「スケジュール」で、ランプ、無線LAN、有線LANを1週間単位で設定することができます。

これは、省電力設定の通信制限が、無線を出す、無線を出さないかというISO参照モデルではレイヤ1の物理層での制御であるからです。「通信制限」といっても制限には、様々なアプローチがあります。詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
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なお、普通は、組込CPUのタイマの取り合いになるので、キッズタイマーと省電力設定のどちらにを選択することが多いのですが、Buffaloは、なぜか同時に利用することができるようです。この点、よく考えて製品開発されていると思います。
バッファロー AirStationの通信制限まとめ
どうでしたか? AirStationは、色々な通信制限があることが分かりましたね。また、最新の通信規格に対応しながらも、必要な通信制限の機能が実装され、多くの人がBuffalo AirStationを選ぶのが良く分かります。
バッファロー AirStationのいいね!な機能
バッファローAirStationはよくできたWiFiルータです。その中でも、特に良い機能は、ゲストSSIDとMACアドレスフィルターでしょう。
- ゲストSSIDは使い勝手が秀逸
- 許可型のMACアドレスフィルターを搭載
バッファロー AirStationのちょっとなぁ~という点
バッファローAirStationに大きな不満はありません。あえてあげるなら、パケットフィルターの範囲指定方法です。この方法で指定した場合、高速処理が難しいからです。
- パケットフィルタの範囲指定(高速動作が難しそう)
バッファロー AirStationの特徴
Buffalo AirStationシリーズの特徴をまとめます。
ポイント
- Buffalo AirStationシリーズは、最新規格に対応するWiFiルータ
- アンテナの方向調整で、より遠くまで通信が可能
- ゲストSSIDの使い勝手は、Buffalo AirStationが最も優秀
- 幼児から中高生までの通信制限に対応が可能
- パケットフィルタの範囲指定は速度面が疑問
オススメする売れ筋WiFiルータの性能や機能、価格帯は次のとおりです。
| WSR-5400AX6P-BK | WSR-3000AX4P-BK | WSR-6000AX8P-MB | |
| 無線の規格 | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 6 (11ax) |
| 5GHz | 4803 Mbps | 2401 Mbps | 4803 Mbps |
| 2.4GHz | 573 Mbps | 573 Mbps | 1147 Mbps |
| 有線WAN | 1Gbps×1 | 1Gbps×1 | 2.5Gbps×1 |
| 有線LAN | 1Gbps×4 | 1Gbps×4 | 1Gbps×3 |
| アンテナ方式 | 内蔵アンテナ | 内蔵アンテナ | 内蔵アンテナ |
| 5GHz | 送4×受4 | 送3×受3 | 送4×受4 |
| 2.4GHz | 送2×受2 | 送2×受2 | 送4×受4 |
| キッズタイマー | ○:あり | ○:あり | ○:あり |
| MACアドレスフィルタ | ○:許可型64個 | ○:許可型64個 | ○:許可型64個 |
| ゲストSSID | ○:タイマー有 | ○:タイマー有 | ○:タイマー有 |
| 省電力設定 | ×:なし | ×:なし | ×:なし |
| パケットフィルタ | ○:32個 | ○:32個 | ○:32個 |
| 価格帯 | 16,000円 | 10,000円 | 18,000円 |
| おススメ度 |
出展:BUFFALO Wi-Fiルーター:AirStation
最後に、読者の皆さまのお子様の成長を心よりお祈り申し上げます。どうしようもないとき、このページを参考に通信制限を掛けてください。今後も、皆様のお役に立てる情報を発信していきます。
