【ルータ応用】WiFiルータを使ってニコニコ動画だけ非表示にする設定例を公開してみた

2025-04-27 この記事にはプロモーションが含まれます。

この記事は、WiFiルータに搭載されたインターネット利用を制限できる機能を使って、ニコニコ動画だけ非表示にする方法を説明したものです。パケットフィルタやDNSルーティングを搭載したWiFiルータは一部のメーカに限られますが、特定の通信を遮断することで、子どもの健全な成長を促進します。

ニコニコ動画は、株式会社ドワンゴが運営する動画共有サイトです。動画の再生中にユーザーが投稿したコメントが画面上を流れるのが特徴で、根強いコアなファンが多く、濃密なコミュニティが魅力です。

のんびり理系おじさんのバカ息子は、ニコニコ動画にハマっていませんが、私の血統を受け継いで、パソコンやマンガが大好きなヲタク兄ちゃんです。いずれは、ニコ生などに、ずっぽりハマってしまうだろうということで、先手を打つことにしました。

ひとまず、nslookupコマンドを使ってニコニコ動画を調べてみると、IPアドレスは、アマゾンのAWSクラウドを使っているようでした。

以前、公開したYouTubeを非表示にする記事では、パケットキャプチャでYouTubeに使われているIPアドレスを探し、WiFiルータに登録しましたが、AWSクラウドは、様々なサービスで使われており、ニコニコ動画で使われているIPアドレスを探し出すのは苦労しそうです。

AWSクラウドの全範囲を制限すると、Googleサービス以上の問題が起きそうなので、ニコニコ動画の視聴を制限するには、どのような方法が良いかを慎重に検討しました。

記事のポイント

  1. ニコニコ動画の仕組みを知る
  2. AWSクラウドの動画配信を知る
  3. ブラウザとアプリの違いを知る
  4. レジェンド機能の良さを知る

視聴を制限するには、パケットフィルタが動作するWiFiルータが必要です。また、少し古いNECやエレコム製のWiFiルータであれば、DNSルーティングで対応することも可能です。対応できるメーカは下記のとおりです。


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ニコニコ動画について

視聴を制限する前に、ニコニコ動画について勉強しましょう。

ニコニコ動画とは

ニコニコ動画は、日本の動画共有サイトで、株式会社ドワンゴが運営しています。ニコニコ動画には、コメントが動画上に流れる、ユーザが動画にタグ付けできる、個人でもニコニコ生放送でライブ配信できるといった特徴があります。

YouTubeと比較して、配信者と視聴者の距離が近く、独特の文化を持ち、日本のインターネットカルチャーに大きな影響を与えたサービスです。一時期ほどの盛り上がりはありませんが、一度、楽しさを知ってしまうと抜け出せなくなってしまう中毒性があります。

スマホ依存を改善させる第一歩は、スマホに触れる時間をできるだけ減らすことです。YouTubeやニコニコ動画といった動画視聴は、スマホを手に取る時間を長くしてしまいます。

のんびり理系おじさんのバカ息子は、学校から帰ってくると、ベットに潜り込んで深夜までスマホを眺めています。メガネを付けたまま寝てしまうので、メガネはどんどん変形しています。ママから何度も注意をしていますが、バカ息子は、親からの忠告を一切無視してお構いなしです。

ママ
ママ
メガネが壊れるから
やめなさい!
・・・
息子
息子

スマホ依存にならないよう、動画の視聴ができない環境を作ってあげることも親の役目でしょう。

映像配信のサーバ構成

さて、本題に入りましょう。ニコニコ動画の「www.nicovideo.jp」に割り当てられたIPアドレスを調べるには、nslookupコマンドを使います。

nslookupで出てきたIPアドレスが、どの組織に割り当てられているかは、whoisコマンドで調べます。
ドメインIPアドレスサーチ

whoisコマンドの結果、「www.nicovideo.jp」に割り付けられたIPアドレスはアマゾンでした。

アマゾンってショッピングとかするECサイトでしょ、アマゾンプライムに入れば動画見放題だよね~と思ったあなたは、確かにそれは正解なのですが、残念な方の回答です。

アマゾンは、世界最大のECサイトを運営している会社ですが、実は、他の側面を持っているのです。次で詳しく説明をします。

AWSについて勉強しよう

アマゾンは、ECサイトだけではなくAWS(Amazon Web Services)というクラウドコンピューティングサービスを展開しています。これがメチャメチャ優秀なのです。AWSについて簡単に勉強しましょう。

AWSは、世界で最も利用されているクラウドサービスです。提供されるサービスが豊富で、これまで社内の物理サーバ(オンプレサーバ)でしか、実現できなかった多くの機能をクラウド上で実現することができます。クラウド上で動作する機能は、使いやすいうえ、不具合はアップデートにより頻繁に修正されます。さらには、AWSの利用料金も手頃です。

以前は、社内にある物理サーバのために、定期的に出社して各種メンテナンスを実施していましたが、リモートワークが進むなかで、クラウドサーバの需要は、以前よりも増加しています。

もちろん、社外から社内イントラネットにVPN接続してメンテナンスすることも可能ですが、社内外を繋ぐ通信帯域がボトルネックになるうえ、メンテナンスPCのウイルス感染等により、社内の重要データを意図せず持ち出されるセキュリティ上のリスクが存在します。

一般向けに限らず、社内向けシステムにおいても、必要な情報だけ集めてクラウドサービスで構築するのが、現在におけるサーバ構築の主流です。もちろん、AWSにクラウドサーバ構築できるエンジニアの需要は急増し、転職市場においても引く手あまたです。

YouTube配信との違いは

では、ニコニコ動画とYouTubeの配信の違いは何でしょうか。Google社は、YouTube以外にも地図やストレージなど様々なサービスを提供しており、それらは自社のクラウドサーバで実現しています。

動画配信のYouTubeも、Google社内のクラウドサーバで実現をさせており、nslookupでwww.youtube.coのIPアドレスを調べると定期的に返ってくるIPアドレスが変わる仕組みを採用しています。これは、Google社が提供するサービスが、自社のクラウドサーバで提供しているからできることでしょう。

ニコニコ動画のようにサービスを提供する会社(ドワンゴ)と、クラウドサーバを提供する会社(AWS)が異なる場合、Googleのようなnslookupで問い合わせるたびに、IPアドレスが変わる特殊な仕組みは実現できません。

もちろん、お金を積めば実現できる機能とは思いますが、どちらの会社にもメリットはありません。つまり、ニコニコ動画は、YouTubeのような特殊な仕組みは、導入していません。おそらく、nslookupで示されるIPアドレスの通信を制限すれば、動画視聴ができなくなるはずです。

アプリとブラウザの違い

もちろん、ニコニコ動画の視聴方法は、YouTubeと同様にアプリとブラウザの2種類があります。まず、動画視聴を制限するWindowsパソコンについて考えましょう。

Windowsパソコンでニコニコ動画を視聴には、シンプルニコニコプレイヤーというアプリがあります。しかし、私の周りでは、このアプリを使ってニコニコ動画を視聴している人を見たことがありません。評判もあまり良くないようです。従って、Windowsパソコンでニコニコ動画を視聴する際は、Webブラウザを使用するのが一般的でしょう。

一方で、スマホは、ニコニコ動画アプリを使って視聴するのが一般的です。ブラウザを使って視聴している人もいるかも知れませんが、少数派だと思います。

よって、ニコニコ動画の視聴状況の確認には、ブラウザとスマホアプリで確認する必要があります。


ニコニコ動画の制限

ニコニコ動画の概要がわかったところで、具体的に、ニコニコ動画の視聴を制限する方法を説明していきます。

WiFiルータをIPv4で動作させる

まずは、WiFiルータに接続する端末が、IPv6で動作しないようにWiFiルータの設定を行います。これができていないと通信制限ができません。

NEC Aterm WR9500Nの場合、トップページから、基本設定を選び、その中の基本設定から、動作モードをローカルルータとして、IPv6ブリッジ(パススルー)を使用するのチェックを外します。この設定だけで、WiFiルータへ接続する端末はIPv4で接続されます。

WiFiルータをIPv6で動作させると、端末もIPv6で接続するため、ルーティングによる各種通信制限機能が動作しません。よって、WiFiルータのIPv4動作は必須です。NEC以外のWiFiルータでも、同様ですので、IPv6ブリッジやIPv6パススルーという設定を探してオフにしてください。

nslookupでIPアドレス調査

次に、Webブラウザを使った動画視聴の制限には、nslookupで「www.nicovideo.jp」に割り当てられるIPアドレスへの通信を絶つ必要があります。

YouTubeの視聴制限を調査した際、www.youtube.comには、nslookupのIPアドレス回答が定期的に変わる仕組みがとても厄介でした。ニコニコ動画には、定期的にIPドレスが変わる仕組みがないことを確認しましょう

nslookupコマンドを実行して、「www.nicovideo.jp」に割り当てられたIPアドレスを確認するだけです。これを時間を空けて何回か繰り返し、ニコニコ動画の「www.nicovideo.jp」のIPアドレスが定期的に変更する仕様ではないことを確認します。

私が確認したところ、ニコニコ動画の「www.nicovideo.jp」には、下記のIPアドレスが固定的に割り当てられているようでした。

  • 3.163.198.27
  • 3.163.198.63
  • 3.163.198.83
  • 3.163.198.102

また、のんびり理系おじさんの自宅には、J:com回線とドコモ光回線があります。それぞれの回線にて、時間を空けてnslookupコマンドを使って「www.nicovideo.jp」のIPアドレスを調べた結果が変わらないことを確認しました。おそらく、この4つのIPアドレスを制限すれば、ニコニコ動画は視聴できなくなるはずです。

のんびり理系おじさんは、近畿地方在住ですが、地域により「www.nicovideo.jp」に割り当てられるIPアドレスは異なる可能性があります。ご自宅のパソコンからnslookupコマンドを送って、制限するIPアドレスが、おじさんと異なる場合、ご自宅のパソコンで表示されたIPアドレスを制限してください。

パケットフィルタで制限

nslookupで「www.nicovideo.jp」を調べたIPアドレスを、おじさんが使っているNEC Aterm WR9500Nのパケットフィルタに登録します。パケットフィルタは、NECとバッファローがWiFiルータに搭載されたインターネット利用を制限する機能です。

自宅内のLANインタフェースに入ってくる宛先IPアドレスが「3.163.198.27」のパケットを制限する方法は次のように記載します。宛先IPアドレスの後ろに付けた「/32」は、制限するIPアドレスは「3.163.198.27」だけという意味です。これは、範囲指定しないIPアドレスの一般的な指定方法です。

優先度40~43にニコニコ動画用のフィルタを登録することで、「www.nicovideo.jp」に割り当てられたIPアドレスは制限できているはずです。

Webブラウザを立ち上げて、ニコニコ動画を視聴できなくなったか確認します。

きちんとWebブラウザで視聴できなくなっていたら、パケットフィルタを使った視聴制限は成功です。

アプリも制限できるか確認

パケットフィルタによるニコニコ動画の視聴制限は、Webブラウザで期待どおりの制限ができていることを確認できました。今度は、スマホのニコニコ動画アプリからの視聴を確認します。

YouTubeの視聴制限は「www.youtube.com」に割り当てられた全IPアドレスを登録しても、アプリからの視聴を制限することはできませんでした。これは、ニコニコ動画アプリにも同じことが言えます。アプリの作り込みによっては、視聴を制限できない問題が起こるはずです。

のんびり理系おじさんのスマホに、ニコニコ動画アプリをインストールし、パケットフィルタを設定したWiFiルータ経由で、ニコニコ動画が視聴できるか確認を行いました。その結果として、動作確認した画面は、下記のような状態でした。スマホは、ニコニコ動画のホーム画面を読みにいっていますが、アクセスできないようです。

これらの結論から、ニコニコ動画アプリは、Webブラウザと同様にDNSからIPアドレスを調べて、配信サーバ「www.youtube.com」にアクセスしていると考えられます。

言い換えれば、ニコニコ動画アプリは、アプリ内に専用のWebブラウザが実装されており、Web以外の方法でパケット通信などしていないということになります。

DNSルーティングで制限

ここで、のんびり理系おじさんは、ハタと気が付きました。

ニコニコ動画アプリが、Webブラウザと同じIPアドレスで制限できるということは、ドメイン名「nicovideo.jp」をIPアドレスに変換できないだけで視聴を制限できるはずです。

レジェンド機能であるDNSルーティングは、ドメイン名のIPアドレス変換時にDNSサーバを指定する機能ですが、存在しないDNSサーバを指定すれば、ドメイン名はIPアドレスに変換できません。DNSルーティングについて知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

DNSルーティングは、2015年ごろまでWiFiルータに搭載された機能であり、我が家のWiFiルータ NEC Aterm WR9500Nには、この機能が搭載されています。早速、試してみることにしました。

結果、DNSルーティングでも、ニコニコ動画の視聴を制限することができました。というか、DNSルーティングで設定する方が、分かりやすくて簡単です。

なぜ、WiFiルータの製造メーカは、この機能を排除してしまったのでしょうね。WiFiルータでルーティングさせるには、IPv4設定しないといけないので、使用する機会が少ないと判断されたと思いますが、会社のイントラネットをIPv6にした会社は、殆どありません。職場においてもIPv4は、まだまだ現役です。

インターネット利用を制限するのに、とても優秀な機能だっただけに残念です。

まとめ

ということで、まとめです。ニコニコ動画の視聴を制限するには、「パケットフィルタ」「DNSルーティング」の2つの方法があることが分かりました。

設定に容易さを考えると、明らかに「DNSルーティング」の方が簡単なのですが、現行製品でこの機能を搭載したWiFiルータは存在しません。ご自宅のWiFiルータが、たまたま少し古い製品であるか、中古で入手する必要があります。

ニコニコ動画の視聴制限のまとめ

  1. WiFiルータをIPv4で動作させれば、パケットフィルタで制限が可能
  2. 「www.nicovideo.jp」に相当する宛先IPアドレスのパケットを破棄
  3. アプリもブラウザも制限するIPアドレスは一緒
  4. DNSルーティングが搭載されたWiFiルータなら設定が簡単

ということで、無事に、ニコニコ動画の視聴を制限することができました。YouTubeの視聴を制限される場合は下記のページを参考にしてください。

最後まで読んでいただき、まことにありがとうございました。のんびり理系おじさんは、読者の皆さまのお子様の成長を心よりお祈り申し上げます。どうしようもないとき、このページを参考にインターネット利用制限を行ってください。おじさんは、これからも、皆様の子育てのお役に立てる情報を発信していきます。

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たりを

技術士(電気電子部門:情報通信)、労働安全コンサルタント『のんびり理系おじさん』です。情報通信分野で、光伝送装置の開発、システム設計、据付調整など25年以上携わった経験を生かして、通信機器を使って生活を豊かにする情報を発信していきます。今やスマホがない生活は考えられません。自宅のWiFiルータを使い倒す方法を中心に紹介します。

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